見積もりが終わると、引越し業者の営業員は、見積書を作成して渡してくれます。

見積書の検討の際、もっとも重要なことのひとつは、じっくりと検討することです。見積書を受け取ったら、時間をかけて慎重に検討してください。

たとえ引越し業者の営業員から即決を迫られても、焦って利用する引越し業者を決める必要はありません。

引越しは買い手市場

引越し業界には、運送業の許可さえ取得していれば参入できます。運送業の許可は比較的ハードルが低いため、運送業への参入障壁はそう高くはありません。

このため、引越し専門の業者の他にも、物流や貨物運送を主力事業としている運送業者も参入しています。中には、物流や貨物運送の仕事が少ない時期に「片手間」で引越しのサービスを提供しているような業者もあるようです。

このように、引越し業者は数が多いため、引越し業界では業者間の過当競争が激しい傾向があります。

このため、引越し業者との交渉では、基本的には買い手市場、つまりお客さまのほうが立場が強いといえます。お客さまの方が交渉上の立場は優位なわけですから、営業員に即決を迫られても焦る必要はありません。

繁忙期には要注意

繁忙期(3月・4月)には、引越し業者の処理能力を超えるだけのお客さまからのご依頼があります。あまりにご依頼があるため、支店や事業所でご依頼を処理し切れないこともあるくらいです。

このため、繁忙期に限っては、引越し業者との交渉では、売り手市場、つまり業者のほうが立場が強いといえます。

このような事情があるため、繁忙期では、引越し業者は、条件の悪い(=お客さまにとっては条件が良い)引越しを引き受けたがらない傾向があります。場合によっては、引越し業者の側から利用を断られることがあります。

このため、繁忙期の交渉には、注意してください。

なお、このような傾向は、ゴールデンウィークを始めとした連休や、9月末の引越しでも同じことがいえます。

最終的には3社程度に絞り込む

引越し業者の利用を決定する場合は、相見積もりをすることが鉄則です。

なるべく多くの引越し業者から見積もりを取ってみて相見積もりをしたほうがいいですが、あまり多くの引越し業者を検討すると、迷って決められなくなってしまいます。

また、比較サイト・一括見積もりサイトを利用する際に、あまりに多くの引越し業者の比較・見積もりをおこなった場合、連絡が殺到してしまうことがあります。

営業員との打ち合わせを考えると、せいぜい10社程度が限界と思われます。

相見積もりを取った後は、ある程度の評価項目(価格・サービス内容・営業員の態度・口コミなど)とその優先順位を決めて、最終的には3社程度に絞り込んで決めてください。

その後、その3社と最終的な詰めの交渉をおこなったうえで、1社を決定してください。

交渉は嫌悪感を与えない程度に

最終的に利用する引越し業者を決める際には、なんらかの交渉をおこなうことになります。

もちろん、何の交渉もせずに決めてしまってもかまわないのですが、せっかく相見積もりを取ったのであれば、なるべく有利な条件を引き出したいところです。

ですから、他社の見積もりを引き合いに出して、少しでも有利な条件を引き出してみてください。

この際は、あくまで誠実な態度で望んでください。嫌悪感を与えるような交渉では、引越し業者の側から交渉を打ち切られることがあります。

特に、大手引越し専門業者との交渉の際には、低価格を売りにしている中小業者との価格の比較はなるべくご遠慮ください。

大手引越し専門業者と中小業者は、サービスの質がまるで別物ですので、そもそも比較するべきものではありません。

このため、営業員によっては、即座に交渉を打ち切られてしますこともあります。