電子レンジ、オーブンレンジ、スチームオーブンなどの調理機器については、特に事前の準備の必要はありません。

当日は、引越し業者が梱包などの処置をして運んでくれます。

ですから、何もしなくて構いません。

逆に、中途半端に何かされた場合、ニ度手間になってしまい、かえって無駄な時間がかかってしまうことがあります。

なお、電子レンジ等は、場合によっては扱いがいい加減になることもあります。このため、必ず梱包してもらうようにしてください。

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電子レンジは中の皿を必ず梱包してもらう

皿による事故が多い

電子レンジ、オーブンレンジ、スチームオーブンでありがちな事故が、中のガラス製や金属製の皿による事故です。

具体的には、運搬中に皿が動いて、ガラス製の皿が割れたり、中の皿がガラス製の扉を突き破っていしまうことがあります。

ですから、必ず皿を気泡緩衝材(エアーキャップ。いわゆる「プチプチ」)等で梱包してもらってください。他の細々とした部品は、特に梱包する必要はありません。

また、梱包した皿については、分けて別のダンボールに入れる必要はありません。通常は、そのまま電子レンジ等の中にいれておきます。

こうすると、「割れるんじゃ…?」と思われるかもしれませんが、よほど乱暴な運転をしない限り、梱包した皿が中にあっても、事故にはなりません。

経験が浅いアルバイト・派遣社員が未処置のものを持ち出して事故になることも

ちなみに、このような事故は、繁忙期には意外と発生します。

ベテランのスタッフやチームリーダーにとっては、電子レンジ等の皿は梱包しなければいけない、ということが常識となっています。

ただ、経験の浅いスタッフや派遣社員にとっては、そうではありません(派遣社員は当然そのようなことは知りません)。

そのわりに、電子レンジ等は比較的軽い荷物ですから、経験の浅いスタッフや派遣社員が何もせずに勝手に運びだしてしまうことがあります。

そのようなことがあっても、通常は、トラックのドライバーが、念のため皿が梱包されているかどうか確認します。

ところが、繁忙期や引越しの件数が多い日は、普段は引越しの作業をしていない運送会社のドライバーがトラックの積込みをしていることがあります。

こうなると、皿が梱包されていない電子レンジ等がトラックの荷台に積込まれ、結果として、皿が割れたり扉が割れたりします。

このようなことがないように、繁忙期などでは、引越し業者の作業の様子をよく見ておいてください。

不安な場合はご自分で梱包を―必ず「プチプチ」(≠新聞紙)で梱包

管理人としてはあまりお勧めではありませんが、このような未経験のスタッフ・派遣社員+運送会社のドライバーの「合せ技」による事故が不安な場合は、ご自分で梱包するのもひとつの方法です。

ご自分で梱包する場合は、電子レンジ等の中にある皿を気泡緩衝材で、少なくとも二重に巻いてガムテープで留めてください。

実際のところ、気泡緩衝材は一重で巻いても滅多に事故は起こりません(少なくとも管理人は一重で巻いた皿での事故の経験はありません)。

ただ、ものによってはかなり重い皿もありますので、念のため二重にしてください。

この場合、皿の梱包には、新聞紙や食器梱包用紙(クレープ紙・クレープペーパー)は使わないでください。

これらの紙の衝撃吸収力では、電子レンジ等の事故は防げない可能性が高いです。

あとはそのままにしておけば、当日、引越し業者のスタッフが電子レンジ等の中を確認して運んでくれます。

万が一、中を確認しなかった場合であっても、事故にはなりません。

なお、ダンボールに入るサイズの電子レンジ等であれば、ダンボールに入れてしまっても構いません。

自分で梱包した場合は原則として補償対象外

ちなみに、なぜこの方法を管理人がお勧めしないかというと、これでも事故が発生した場合は、補償の対象外となるからです。

お客さまが自分で梱包した荷物については、引越し業者がよほどのミスをしない限り、お客さまの「過失」として、補償の対象外となります(標準引越運送約款第23条第8号)。

第23条(免責)
当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害については、損害賠償の責任を負いません。
(第1号から第7号まで省略)
(8)荷送人又は荷受人等の故意又は過失
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

電子レンジ等に限った話ではありませんが、自分で荷物を梱包する際は、この点についてご注意ください。

内部不具合の事故に備えて引越し当日に作動確認

「経年劣化」という引越し業者の主張を退けるのに必須の作業

電子レンジ、オーブンレンジ、スチームオーブンは、構造によっては、内部不具合が発生することがあります。

特に、最新型のものは、精密機器や小型のコンピュータが内蔵されていることがありますので、そのぶん内部不具合が発生しやすくなっています。

このような内部不具合が発生した場合は、補償交渉が難航することがあります。

グレードにもよりますが、特にスチームオーブンなどは、引越しの荷物としては高価なため、引越し業者としても、簡単に補償交渉に応じてくれません。

このため、搬出の前と搬入の後に必ず作動確認をしてください。

こうすることで、引越し業者から、「元々壊れていた」とか「経時劣化だ」(標準引越運送約款第23条第1号の「自然の消耗」)と主張されにくくなります。

第23条(免責)
当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害については、損害賠償の責任を負いません。
(1)荷物の欠陥、自然の消耗
(第2号以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

電子レンジにはガムテープを貼らない

ガムテープを貼ると二度手間になる

よく電子レンジ、オーブンレンジ、スチームオーブンにガムテープを貼っているお客さまがいらっしゃいます。これは、扉が開かないように配慮した結果です。

引越し業者としてはお気持ちは嬉しいのですが、結果的にこれは無駄になってしまいますので、ご遠慮ください。

というのも、すでに述べたとおり、電子レンジ等の搬出のために、中の皿を梱包する必要があります。このため、結局はそのガムテープをはがすことになります。

また、特にガムテープを貼らなくても運ぶことができますので、そのままにしておいてください。

なお、紙製のガムテープ(クラフトテープ)を貼ってしまうと、跡が残り、綺麗にはがれなくなってしまいます。

そういう意味でも、ガムテープを貼るのはご遠慮ください。

ダンボールでもいいのでなるべく梱包してもらう

トラックの荷台ではキズはつかない

電子レンジ、オーブンレンジ、スチームオーブンは、特に梱包することなく運ぶことができますが、なるべく梱包してもらうべきです。

電子レンジ等は、トラックの荷台ではダンボールの荷物で周りを囲むようして積込みます。こうすることで、外部にキズがつきません。

このような積み方は、ベテランのドライバーにとっては、別に難しいものではありません。

このため、トラックのドライバーによっては、電子レンジ等は特に梱包せずに積み込む場合があります。

梱包することでスタッフ・派遣社員による事故を予防する

では、なぜわざわざ梱包してもらうべきかというと、経験の浅いスタッフ・アルバイト・派遣社員による事故の可能性があるからです。

電子レンジ等は、すでに述べたように皿を梱包し、せいぜい配線を養生テープでまとめて後ろに留めて搬出します。

そして、引越し業者のチームリーダーは、前面のガラス製の扉をわざわざ養生テープなどでは留めずにそのまま運び出します。

これは、「開かないように運べばいい」という考え方によるものです。

確かに、ある程度経験を積んだスタッフであれば、中に皿が入っていることや、前の扉が開くことを知っていますので、開かないように運びます。

ところが、経験の浅いスタッフ・アルバイトや、まして引越し作業が初めての派遣社員などは、そのような事情をまったく知らないこともあります。

このようなスタッフ等が電子レンジ等を運んだ場合、うっかり前面を傾けてしまうと、扉が空いて皿が飛び出してしまい、皿が割れてしまいます。

サイズにもよりますが、大型の電子レンジ等になると意外に重いため、腕力がないスタッフが扱うと、このような事故は起こりえます。

また、単純に、運んでいる際に他の荷物や壁などに接触して、電子レンジ等にキズがつくこともあります。

このような事故にならないよう、なるべくダンボールに入れるなどして、梱包してもらってください。

雨が降っている場合は当然梱包してもらう

また、雨が降っている場合も、なるべくダンボールなどで梱包してもらってください。

電子レンジ等は台所用品ですので、上からの水分には比較的強い荷物ではあります。

それでも、ちょっとした水分が裏側から入ってしまうことで、故障してしまうこともあります。

特に、天気が変わりやすく、想定外のゲリラ豪雨などのリスクを考えると、夏は梱包が必須といえます。

また、スチームオーブンなどの高価なものの場合は、事故防止のため、必ず梱包してもらうようにしてください。

まとめ

電子レンジ等は、引越し業者の元スタッフの管理人としては、「お願いですからそのままにしておいてください」と、声を大にして言いたい荷物です。

一番困るのが、中のガラス製の皿がそのままで、ガムテープ(紙製のクラフトテープ)で扉を固定している状態の電子レンジ等です。

この状態の電子レンジ等を目の前にして、呆然したことが何度もありました。

もちろん、そのまま運び出すわけにもいきませんので、お客さまに事情を説明し、ガムテープを剥がして(当然、跡が残ります)、皿を梱包したうえで運び出します。

このような二度手間は、時間の無駄となってしまいます。

もちろん、お客さまとしては良かれと思って処置しているのでしょうし、そのようなお気遣いの大半は特に問題ないものです。

ただ、電子レンジ等の処置だけは、「正解」の処置がされているものは見たことがありません。

ですから、電子レンジ等は、お気になさらずに、そのままにしてください。

そのままにしておくことが、引越し業者のスタッフにとって、一番の気遣いです。