「やっぱり引越しは縁起が大事。引越し業者のスタッフのみなさんにも食事や飲み物を振る舞うものでしょう?」と、引越しのたびにお悩みではありませんか?

こんにちは。かつて、お客さまから缶ビールを箱でいただいたことがある、元引越し業者スタッフの管理人です。

この記事では、引越し業者のスタッフに飲み物や食べ物の差入れをするべきかどうか、ということについて解説しています。

新築のお引越しでは特にそうですが、引越しでは、何かと縁起や験を担ぐことが多いです。

その「験担ぎ」の代表のひとつが、他人に何かを振る舞うことです。ご近所に蕎麦を配る「引越し蕎麦」などが代表ですね。

ご年配のお客さまの中には、引越し業者のスタッフに食事を振る舞う方もいらっしゃいます。

もちろん、引越し業者のスタッフへの飲み物や食べ物の提供は、必ずしなければならないものではありません。逆に、用意してはいけないものでもありません。

飲み物や食べ物を用意するかどうかは、結局は、お客さまのお気持ち次第です。

ただ、どちらかというと、飲み物や食べ物を用意したほうが、お客さまにとってメリットがあります。

飲み物や食べ物を用意するのであれば、なるべく引越し業者のスタッフにとって迷惑にならない、かつ効果的な品物とタイミングを狙いましょう。

もっとも、どうせお金を使うのであれば、管理人としては、チップ・心づけ祝儀=現金のほうをおすすめします。

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何も用意しないよりは何か用意した方がいい

お礼する引越し業者男性スタッフ

飲み物や食べ物の提供は「必要」ではない

当たり前ですが、引越し業者に対する飲み物や食べ物の提供は、必要ではありません。

引越し業者には料金を支払うわけですし、その料金から引越し業者のスタッフに給料が支払われます。お客さまとしては、料金以外には何も負担する義務はありません。

引越し業者のスタッフも「何か飲みますか(食べますか)?」と聞かれれば、「私たちは会社から給料が出ますから、何もいただかなくても結構です」と答えるでしょう。

しかし、引越し業者のスタッフも人間です。

これは、会社からこう言うように指導されているから、答えているだけです。

心の底からそう思っている聖人君子のような人は、おそらくどこの引越し業者のスタッフにもいないでしょう。

管理人自身も含めて、少なくともそのような引越し業者のスタッフには、管理人は会ったことがありません

飲み物や食べ物はスタッフのやる気や気配りにつながる

もっとも、別に引越し業者のスタッフも、「今日のお客さんは何をくれるのかな~?」なんて考えてはいません。

現場に向かうまでの間、お客さまが「クレーマーでないこと」をただひたすら祈っているだけです(というよりも、チームリーダーの機嫌のほうがよっぽど気がかりですが…)。

ある意味では、お客さまからいただく飲み物や食べ物への期待は、ものすごく低いといえます。

引越し業者のスタッフとしては、飲み物や食べ物を提供されると、思いのほか喜んでしまいます(こういうのを「望外の喜び」というのでしょう)。

こうなると、目に見えて変わるほどではないにせよ、スタッフのやる気が出ます。なるべく事故を起こさないように、荷物を丁寧に取り扱うよう配慮するようにもなります。

このように、いただいた飲み物や食べ物に何かお返しをしようとする心理を「返報性の原理(法則)」といいます。

つまり、引越し業者のスタッフに飲み物や食べ物を提供するのは、心理学的な根拠がある立派な(?)テクニックというわけです。

もちろん、どのくらい変わるかは個人差がありますが、まったく変わらないということは、まずありません。

ですから、お客さまのお気持ち次第ではありますが、飲み物や食べ物は、なるべく用意するべきです。

  • 飲み物や食べ物を用意しない:引越し業者のスタッフにとっては「いつもの引越し」
  • 飲み物や食べ物を用意する:「返報性の原理(法則」によりお客さまにお返しがしたくなる「特別な引越し」)

夏の引越しでは冷たい飲み物を用意する

夏にペットボトルを持つ引越し業者男性スタッフ

スタッフの「熱中症」という現実的なリスクに対処する

引越しの作業は、冬であっても大量の汗をかく、過酷な作業です。夏の引越しともなれば、作業開始後、5分とたたず全身から汗が吹き出してきます。

夏の時期には、引越し業者では、必ず途中で休憩を取って水分を補給するよう、朝礼でチームリーダーやスタッフに管理職が伝えます。

ですが、この指示をそのまま守るようなチームリーダーは、むしろ少数派です。

たいていのチームリーダーは、炎天下の中で、遠慮なくスタッフを使い倒します。

もちろん、スタッフが作業途中に勝手に飲み物を飲むなど、許されるはずがありません。

こうして、毎年、夏には熱中症で倒れるスタッフが出てきます。

お客さまから飲み物を提供して現場を「コントロール」する

「別に熱中症でスタッフが倒れるのは、引越し業者の労務管理の問題でしょう?」それはそのとおりで、正論以外の何ものでもありません。

ただ、水分補給ができずにスタッフが熱中症で倒れたら、引越しどころではなくなります。

ですから、夏に引越しをする場合は、引越し業者のスタッフが熱中症で倒れないように、チームリーダーに休憩を「させる」必要があります。

いわば、お客さまの側から、引越しの現場をコントロールするのです。

ただ、単に「休憩をしてください」とお願いしたところで、「大丈夫です」と切り返されるだけです。

そこで、飲み物の差入れが重要となります。

飲み物を受け取る以上は休憩を断りにくい

夏の引越しでは、冷たい飲み物を提供することで、休憩を促すことができます。

ポイントは、「冷たい」ということです。

いくらチームリーダーが薄情だっとしても、「冷たい」飲み物がぬるくなるまで休憩させいない、ということはありません。

何よりも、自分自身が冷たいうちに飲みたいため、休憩します。

近くに自動販売機やコンビニがない場合は、保冷バッグと保冷剤を用意してでも、飲み物を提供してください。

夏は水分補給・冬は「温かいもの」

飲み物の種類は、よほど変わったものでない限り、なんでもかまいません。

夏の場合は、スポーツドリンク、お茶、ミネラルウォーターなどがオススメです。

どちらかというと、味よりも、水分やミネラルの補給が目的となります。

個人的な好みがありますが、管理人の経験では、炭酸飲料や果物のジュースなど、糖分が高めの飲み物は人気がないような気がします。

冬の場合は、飲み物の種類に限らず、「温かいもの」が好まれます。

ただ、コーンスープやおしるこなどは、好まれない可能性があります。

ですから、コーヒー、お茶、紅茶などが無難でしょう。

冷たいの飲み物はトイレに行きたくなりますので、その点でもオススメできません。

タイミングは「折り返し地点」

飲み物を提供するタイミングは、搬出作業・搬入作業ともに、作業の折り返し地点です。

具体的には、以下のとおりです。

  • 引越し元(旧居・積地)の休憩のタイミング:ダンボールなどの小型の荷物の搬出が終わった後で、家具・大型家電製品の搬出が始まる前。
  • 引越し先(新居・卸地)の休憩のタイミング:家具・大型家電製品の搬入が終わった後で、ダンボールなどの小型の荷物の搬入が始まる前。

これらのタイミングは、ちょうど作業が一段落したタイミングであり、ひと汗かいた状態です。

このタイミングで休憩を入れることで、疲れがとれ、水分の補給にもなります。

夏に限っては「チップ・心づけ<飲み物」

夏の場合に限っては、チップや心づけよりも、飲み物を優先的に用意してください。

というのも、一部の引越し業者のスタッフの中には、飲み物を買うだけの金銭的な余裕がなく、休憩中に飲み物を買って飲むことを我慢する者もいます。

これでは、作業効率が落ちる可能性があります。最悪の場合は、熱中症で倒れる、ということにもなりかねません。

ですから、チップや心づけよりも、冷たい飲み物を用意してください。

もちろん、飲み物と併せてチップや心づけを用意しても差し支えありません。

お菓子など食べ物の差入れも休憩中に

海外の袋菓子

食べ物の差入れは休憩中は食べないけれども喜ばれる

食べ物を用意したのであれば、差入れるタイミングは休憩中がいいでしょう。

飲み物と同じように、食べ物の差入れは、引越し業者のスタッフには喜ばれます。

休憩後の作業にやる気が出るためにも、差入れるタイミングは、休憩中がベストです。

もっとも、休憩時間が短いため、その場でいただくことができません。

また、引越し業者のスタッフは、作業に支障がでないように、作業途中には、昼食以外の食べ物は食べません。

ですから、食べ物の差入れをする場合は、その場で食べられてなかったとしても、がっかりしないでください。

ちゃんと、作業が終わった後で、ありがたくいただいているものです。

食べ物はなんでもいいが賞味期限に注意

食べ物の差入れは、よほど変わったものでもない限り、何でも喜ばれます。

地元の銘菓でもいいでしょうし、コンビニのスイーツなどでも問題ありません。

ただし、おにぎりや菓子パンなど、賞味期限が短めのものは避けたほうがいいです。

ちなみに、賞味期限が切れていなければ、荷造りの際に処分しきれなかったお菓子、飲み物、お酒などを差し入れても喜ばれます。

仮に量が多くても、支店・営業所で他のスタッフとシェアしますので、迷惑にはなりません。

新築祝いの食事は「床」に注意

レジャーシート

新築の建物で食事をふるまって縁起をかつぐ

新築の建物に荷物を搬入する場合、食事を用意するお客さまがいらっしゃいます。

これは、新築祝いとして食事をふるまって縁起をかつぐためのものです。

管理人の経験では、新築の建物への引越しでしか経験したことがありません。

また、地方での引越しでは経験がありますが、都市部での引越しでは経験がありません。

ですから、食事のふるまい自体は、なくなりつつある習慣なのでしょう。

新築祝いで食事をふるまう場合の3つの注意点

「でも、一生に一度の新築への引越しだし、スタッフのみなさんと食事をして祝いたいなぁ」

と、どうしても食事を提供したい場合は、注意が必要です。

というのも、新築の建物の場合は、食事が原因で建物が汚れてしまうことがあります。

新築の建物で食事がふるまわれるのは、管理人の経験では、お昼ごはんがほとんどです。

午前中に引越し元(旧居・積地)で荷物を搬出した後で、荷物の搬入作業の前に、休憩を兼ねてふるまわれます。

となると、テーブルがない状態ですので、床に食器を直置きして食事をすることになります。

このような状態で食事をすると、食べ物がこぼれたり、汁物がはねたりして、床が汚れます。

こうならないようにするためには、次の3つの注意が必要です。

注意点1:レジャーシートで建物(特に床)を汚さないように注意する

食事は、床に直置きしてはいけません。必ず、レジャーシートなどを敷いてください。

こうすることで、食べ物がこぼれたり、汁物がはねたりしても、簡単には床は汚れません。

もちろん、レジャーシート自体も、アウトドアで使ったような中古のものでは、床に汚れが移る可能性があります。

ですから、新品のレジャーシートを用意してください。

注意点2:そば、うどん、ラーメンなどの汁物は用意しない

「やっぱり引越しといえば蕎麦でしょう」と、新築祝いの食事はお蕎麦の出前、と安直に考えていませんか?

これは、まったくオススメできません。

そば、うどん、ラーメンのような汁物は、丼がひっくり返ったら、レジャーシートを敷いていてもどうになりません。

汁物の食事は、せっかくの新築の床がダシで染まってしまうリスクがあります。

カレーなどがひっくり返った日には、床が黄色に染まって、目も当てられません。

ですから、なるべく食事を用意するのであれば、汁気の少ないものにしましょう。

出前を取るのであれば、ご飯の丼もの(カツ丼や天丼など)あたりでいいでしょう。

注意点3:飲み物は500ミリリットル以下のペットボトルを用意する

同じように、飲み物の提供のしかたにも注意が必要です。

食事を用意する以上は、飲み物も用意するべきでしょうが、これは、500ミリリットル以下のペットボトルを個々人に提供するべきです。

新築祝いの食事の場合、家族や引越し業者のスタッフと食事をするのですから、人数はかなり大勢になります。

となると、なんとなく大きいペットボトル(1.5リットル以上)のお茶と紙コップのほうが安上がりだと思われるでしょう。

ただ、この紙コップは、すでに述べた汁物の食事と同じように、コップを倒してしまって、床が汚れるリスクがあります。缶の飲み物も、同じです。

ですから、飲み物は、なるべくこぼれるリスクが少ない500ミリリットル以下の小型のペットボトルを人数分用意しましょう。

食事の提供は引越し業者のスタッフの気疲れの原因

ここまで書いておいてなんですが、実は引越し業者のスタッフとしては、お客さまとの食事は、「ありがた迷惑」な場合もあります。

引越し業者のスタッフとしては、お客さまとの食事に同席したり、お客さまの建物で食事をしたりするのは、非常に気を使います。

場合によっては、疲れが取れるどころか、かえって気疲れしてしまうこともあります。

また、引越し業者としては、スケジュールの都合もありますので、食事はある程度自由に取りたいものです。

このような意味でも、特に新築の建物の引越しで食事を用意することは、あまりオススメではありません。

やはり、どうせ用意するのであれば、現金であるチップや心づけのほうがオススメです。

チップ・心づけ(現金)のほうがオススメ

現金を持つ主婦

なんだかんだ言っても現金が一番

当然ですが、食事や飲み物を用意するにもお金が必要です。

同じお金を使うのであれば、チップや心づけとして、現金で渡すほうが、よりオススメです。

一般的な引越し業者のスタッフは、飲み物や食べ物の提供よりは、現金であるチップや心づけのほうを好む傾向があるからです。

どうしても飲み物や食べ物は好みがあります。用意した飲み物や食べ物が、すべてのスタッフに満足されるとは限りません。

なにより、自由に使える現金が、飲み物や食べ物よりも喜ばれます。

ただし、夏の場合は、すでに述べたとおり、熱中症対策として、飲み物のほうを優先してください。

引越し業者のスタッフに飲み物・食べ物の差入れをするメリット・デメリット

喜ぶ引越し業者男女スタッフ

引越し業者のスタッフに飲み物・食べ物の差入れをするメリット

  • 引越し業者のスタッフのやる気を引き出せる
  • 引越し業者のスタッフが荷物の取扱いを丁寧にするよう配慮してくれる
  • 夏の引越しでの飲み物の差入れは熱中症の予防になる
  • 余っているお賞味期限内の菓子などの処分ができる

引越し業者のスタッフに飲み物・食べ物の差入れをするデメリット

  • 引越し業者のスタッフ1人あたり数百円~1,000円程度の費用がかかる
  • 食事を提供する場合は建物(特に床)が汚れるリスクがある

まとめ

管理人は、冒頭でも書いたとおり、お客さまからビールを一箱まるまるいただいたことがあります。

引越し業者のスタッフとして働いていると、お客さまから意外ないただき物があります。

この他、高級ブランデー、ビデオデッキ、果てはシングルベッドまでいただきました(すべて富裕層のお客さまから譲っていただきました)。

実は、引越しの仕事がやみつきになるのが、こういった臨時収入(?)があるのも、ひとつの理由です。

まあ、なんだかんだで心づけ・チップ=現金が一番嬉しいものですが…

管理人は、自分では義理堅い人間だとも思っていませんが、何かをいただいたお客さまの引越しでは、特に意識せずに、荷物の扱いは丁寧になっていた気がします(もちろん、そうでないお客さまの荷物を雑に扱っているつもりはありませんが…)。

特にいただいた物が高価でなくても、です。

お客さまの側にも、あまり費用を負担できない、というご事情もあるでしょう。

ですから、管理人としては、「どうしても心づけ・チップを用意するべき」と主張するつもりはありません。

ただ、費用対効果から考えると、飲み物はかなり効果的な差入れだと思います。

飲み物は、一人あたり100円程度で用意できるものです。これで引越し業者のスタッフのやる気が「買える」のであれば、安いものです。

心づけ・チップを用意するほど予算に余裕がないのであれば、ぜひ飲み物だけでも提供してみてください。