「さすがに引越し業者でも、ピアノは運べないわよね?やっぱり、引越しのときは、引越し業者とは別に専門業者を手配しないといけないのかなぁ…」と、心配していませんか?

こんにちは。一般家庭の引越しの荷物では、ピアノは、金庫と並ぶ、一番厄介な荷物だと思っている管理人です。

ピアノには、グランドピアノ、アップライトピアノ、電子ピアノ、オルガン、電子オルガン、エレクトーンなど、いろんな種類があります。

このなかで、グランドピアノは、たいていの引越し業者は取扱っていませんが、他のピアノは引越し業者が取扱っています。

ただし、アップライトピアノやオルガンは、状況(2階にある場合など)によっては、引越し業者に引越しを断られることもあります。

このため、場合によっては、グランドピアノ、アップライトピアノ、オルガンについては、他の専門業者に依頼しなけらばならなくなることもあります。

なお、ピアノ・エレクトーンは、特に準備が必要なものではありませんが、キズやヘコみの確認も兼ねて、拭き掃除をしてください。

また、ピアノ・エレクトーンは、とても重い荷物なので、事故が起こりやすい荷物でもあります。事前に十分に対策をしてから、引越しに臨んてください。

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ピアノの種類

グランドピアノ

一般家庭にあるピアノ(+類似の楽器)は5種類

一般家庭が保有しているピアノと、ピアノに類似する楽器は、以下のとおりです。

  • グランドピアノ
  • アップライトピアノ
  • 電子ピアノ
  • オルガン(パイプオルガン)
  • 電子オルガン・エレクトーン

それぞれ、簡単に説明します。

グランドピアノ

グランドピアノは、水平に弦を張ったピアノです。

よくコンサートなどで使われている、本格的なピアノです。ある意味では、グランドピアノは、本来のピアノの姿といえます。

水平に広がる形をしているため、非常に場所を取り、一般家庭向けとはいえません。

このため、管理人も、ごく一部の一般家庭でしか目にしたことはありません。

グランドピアノは、通常は、引越し業者では取扱わないか、特別料金が発生する荷物です。

アップライトピアノ

アップライトピアノは、縦に弦を張ったピアノです。

よくご家庭では壁際に配置されている、おなじみのピアノです。

通常、一般家庭で「ピアノ」といえば、このアップライトピアノのことを意味します。

アップライトピアノは、引越し業者でも取扱っています。

ただし、運搬が非常に難しい場合(2階から階段で降ろす場合、など)は、引越し業者に取扱いを断られるか、特別料金が発生します。

電子ピアノ

電子ピアノは、弦ではなく、電子回路で音を発生させるピアノです。

電子ピアノは、音源が弦ではなく、電子回路なので、グランドピアノと比べて、サイズは小さいものが多いです。

大きくても、アップライトピアノより大きいサイズのものはありません。

中には、ロールピアノ・シートピアノと言われるような巻いて収納できる、シート状のピアノもあります。

電子ピアノくらいのサイズであれば、引越し業者は、普通に運んでくれます。

オルガン(パイプオルガン)

オルガンは、鍵盤の部分はピアノと似ていますが、ピアノとちがって、弦ではなく、パイプで音を発生させる楽器です。

音源がパイプのため、パイプオルガンともいいます。

ただ、一般的なご家庭にあるオルガンは、パイプオルガンではなく、後述の電子オルガンか、「リード」という音源を使ったリードオルガンがほとんどです。

(リード)オルガンは、アップライトピアノと同じような大きさです。ですから、引越し業者でも取扱っている荷物です。

ただし、アップライトピアノと同じく、場合によっては、取扱いを断られるか、特別料金が発生します。

また、本格的なパイプオルガンは、取扱いが非常に難しいため、引越し業者では取扱いを断れることもあります。

電子オルガン・エレクトーン

電子オルガンは、パイプやリードではなく、電子回路で音を発生させるオルガンです。

電子オルガンも、電子ピアノと同じように、サイズはさまざまですが、アップライトピアノやオルガンほど大きくありません。

ですから、引越し業者は、電子オルガンを普通に運んでくれます。

ちなにも、エレクトーンは、ヤマハ株式会社の電子オルガンの商品名・登録商標です。

ピアノ・オルガンの引越しは場合によっては断られる

謝罪する引越し業者営業員

引越し業者はグランドピアノは扱っていない

引越し業者にもよりますが、グランドピアノは、たいていの引越し業者は取扱っていません。

というのも、グランドピアノは、非常に重く、しかも特殊な管理を要するからです。

お客様と引越し業者との契約内容である標準引越運送約款の第4条第2項第3号でも、「引越運送の引受けを拒絶することが」あるものとして、明確に「ピアノ」と記載されています。

標準引越運送約款第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(第1号、第2号省略)
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(第4号省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

状況によってはアップライトピアノ・オルガンの引越しも断られる

また、アップライトピアノやオルガンは、グランドピアノよりは引越ししやすいものではあります。

ただし、階段作業でアップライトピアノ・オルガンを引越す場合は、断られることがあります。

というのも、アップライトピアノやオルガンは、非常に重い荷物です。

特に、アップライトピアノは、階段作業で運ぶのがとても難しく、事故の確率が高いため、引越し業者は、あまり取扱いたがりません。

なお、階段作業がない場合は、アップライトピアノも、引越し業者は普通に運んでくれます。

また、電子ピアノや電子オルガンについては、大きなサイズであっても、分解ができますので、特に問題なく運んでもらえます。

【準備】引越し前に拭き掃除をする

拭き掃除をする主婦

ピアノ・オルガンのキズ・ヘコみの確認のために掃除する

ピアノ・オルガンは、特に準備が必要な荷物ではありませんが、なるべく事前に拭き掃除をしておいてください。

どうして拭き掃除をするのかといえば、ピアノ・オルガンのキズやヘコみの有無を確認するためです。

ピアノ・オルガンは、大人2人いれば少しは動かせます(この際、引きずって床をキズつけないように注意してください)。

ですから、少し前に動かして、ホコリがたまった裏面も濡れ雑巾で拭いてください。

ピアノ・エレクトーンはキズ・ヘコみの有無にかかわらず写真を撮っておく

ピアノ・エレクトーンを拭きながら、必ずキズ・ヘコみの有無をチェックしてください。

この際、キズ・ヘコみの有無にかかわらず、フィルム式のカメラで写真を撮っておいてください。

何のためにわざわざフィルム式のカメラでピアノ・エレクトーンの写真を取るのかというと、万が一、引越し業者が事故を起こした場合に備えるためです。

ピアノ・エレクトーンは非常に重く、特に木製のものは、本体にキズやヘコみができるような事故が発生しやすい家具です。

このような事故が発生した場合、元からあったキズ・ヘコみなのか、引越し業者の作業によってできたキズ・ヘコみなのかわからなくなることがあります。

このため、引越し業者とスムーズな補償交渉をするためには、引越し前の状態を証明するピアノ・エレクトーン写真が、非常に重要な証拠となります。

参照:家具・冷蔵庫の引越しでは写真撮影でキズ・ヘコみ対策をする

電子ピアノ・電子オルガンは引越し前に作動確認をする

また、電子ピアノ・電子オルガンなど、電子回路で音を出しているピアノなどは、引越し前に、きちんと動くかどうか、作動確認をしてください。

ごくまれにですが、電子ピアノや電子オルガンは、引越しの作業による揺れや衝撃によって、内部が故障したり不具合が発生することがあります。

この場合、事前に作動確認をしていないと、次のいずれの故障なのかの区別がつかなくなります。

  • 元から壊れていた
  • 経時劣化によってたまたま壊れた
  • 引越し業者の作業によって壊れた

少なくとも、事前に作動確認をしていた場合は、引越しの作業によって壊れた可能性が出てきますので、補償交渉がしやすくなります。

作動確認をしないと「自然の消耗」として補償対象外になることも

逆に、事前に電子ピアノ・電子オルガンの作動確認をしていないと、経時劣化(=自然の消耗)として、補償対象外となる可能性もあります。

標準引越運送約款第23条(免責)
当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害については、損害賠償の責任を負いません。
(1)荷物の欠陥、自然の消耗
(第2号以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

ですから、引越し元(旧居・積地)で引越し作業が始まる前に、作動確認をしてください。

この際、必ず、引越し業者のリーダーの立ち会ってもらってください。

お客様だけで作動確認をしても、「引越し元(旧居・積地)で動いていた」という「客観的な証拠」にはなりません。

参照:引越し元(旧居・積地)での作動確認が重要―家電製品の不具合・故障への対策

【注意1】引越し元・引越し先の床・壁のキズに注意

青ざめる主婦

重いピアノ・オルガンの引越しは事故が起きやすい

ピアノやオルガンは、非常に重いものですから、床に置く際に、そっと丁寧に置かないと、床にキズやヘコみができます。

また、少しでも壁に接触してしまうと、重さによって、壁にキズやヘコみができてしまいます。

これは、たとえ壁や床に養生がしてあっても、安心できません。

ピアノやオルガンくらいの重さになると、壁や床に養生がしてあっても、キズ・ヘコみになってしまうことがあります。

このような、ピアノ・オルガンと壁・床の接触事故が発生した場合、引越し業者と揉める可能性もあります。

引越し前に床・壁の写真を撮っておく

このため、ピアノ本体のキズ・ヘコみの事故と同様に、引越し業者と揉めないような対策が必要です。

具体的には、事故が起こる場合に備えて、床・壁をフィルム式のカメラで撮影しておいてください。

床・壁ともに、曲がり角の箇所にキズ・ヘコみができやすいので、特に重点的に撮影してください。

また、階段作業がある場合は、壁・床を含めて、階段のすべてを撮影しておいてください。

このような対策を取ることで、引越し業者と揉めずに済みます。

参照:引越しでの壁のキズ・凹み・汚れは写真撮影・その時その場の補償交渉が重要

参照:スムーズに業者と補償交渉できる!引越しの床・階段・畳のキズ・ヘコみ・汚れへの対策

【注意2】電子ピアノ・電子オルガンは脚(底面)の破損事故がある

電子ピアノ

電子ピアノ・電子オルガンの脚はもろくて壊れやすい

電子ピアノ・電子オルガンは、本体(鍵盤の部分)が非常に重い反面、脚(底面)の部分は、非常に軽くできています。

というのも、電子ピアノ・電子オルガンの脚(底面)の部分は、ほとんどがプラスチックでできています。

このため、意外にもろく、本来は、持ち運びに適しているものではありません。

このような電子ピアノ・電子オルガンの脚は、持ち方が悪いと、あっさりと割れてしまいます。

引越し業者のスタッフが分解せずに運んだら要注意

実は、大きくて重い電子ピアノ・電子オルガンは、分解して、本体と脚の部分とに分割できます。

ですから、引越し業者によっては、脚の部分の破損事故を防ぐために、電子ピアノ・電子オルガン分解して運ぶことがあります。

このように、分解して運んだ場合は、脚(底面)の部分が割れることはまずありません。

ただ、電子ピアノの分解・組立は、意外に面倒で時間がかかりますので、引越し業者によっては、そのまま運ぶことがあります。

この際、もろい部分をもったはずみで、プラスチック製の脚の部分が割れることがあります。

ですから、引越し業者のスタッフが、電子ピアノ・電子オルガンを分解せずにそのまま運んでいる場合は、脚の破損に注意してください。

【Q&A式】まとめ

いかがでしたか?最後にもう一度、引越しでのピアノ・オルガンの準備や注意点について確認しておきましょう。

引越し業者はピアノ・オルガンを運んでくれるの? ほとんどの引越し業者は、グランドピアノは、取扱っていないか、特別料金がかかります。

その他の、アップライトピアノ、電子ピアノ、オルガン、電子オルガン(エレクトーン)は、たいていの引越し業者は取扱っています。

ただし、階段作業がある場合など、運搬が難しい状況の場合は、取扱いを断られるか、特別料金が発生します。

ピアノ・オルガンの引越しでは、何を準備したらいいの? できれば、雑巾で拭き掃除をして、キズの有無をチェックしてください。

また、掃除が終わった後に、万が一、引越し業者のミスで事故(ピアノ・オルガンのキズ・ヘコみ)がある場合に備えて、フィルム式のカメラで写真を撮っておいてください。

フィルム式の写真があると、事故の補償交渉がスムーズに進みます。

参照:家具・冷蔵庫の引越しでは写真撮影でキズ・ヘコみ対策をする

電子オルガン・電子ピアノの引越しでは、何を準備したらいいの? 引越し当日に、引越し元(旧居・積地)で引越し作業が始まる前に、きちんと動くかどうか、引越し業者のリーダーに立ち会ってもらって、作動確認をしてください。

これは、万が一、引越し先(新居・卸地)で、電子ピアノ・電子オルガンが作動しなかった場合、引越し業者の作業によって故障したことを証明することになるからです。

逆に、作動確認をしていないと、引越し業者の補償担当者に、「元々壊れていた」とか、「経時劣化で壊れた」とか、主張されて、補償されない可能性もあります。

参照:引越し元(旧居・積地)での作動確認が重要―家電製品の不具合・故障への対策

ピアノ・オルガンをを運んでいるときは、どんな事故があるの? ピアノ・オルガンは、とにかく重いため、たとえ養生をしていても、ちょっとした接触で、壁や床にキズがつきます。
ピアノ・オルガンでの壁・床のキズ・ヘコみの対策は? なるべく、引越し元(旧居・積地)、引越し先(新居・卸地)ともに、フィルム式のカメラでピアノ・オルガンを運ぶルートの壁・床の写真を撮っておいてください。

特に、階段作業がある場合は事故が起きやすいので、階段全体の写真を撮っておいてください。

フィルム式の写真がある場合、ピアノ・オルガンの引越しで事故があったとしても、引越し業者から補償されやすくなります。

参照:引越しでの壁のキズ・凹み・汚れは写真撮影・その時その場の補償交渉が重要

参照:スムーズに業者と補償交渉できる!引越しの床・階段・畳のキズ・ヘコみ・汚れへの対策

電子ピアノ・電子オルガンの引越しで気をつける事故は? 電子ピアノ・電子オルガンは、脚(底面)の部分が壊れやすい、という特徴があります。

経験が浅い引越し業者のスタッフが、間違った持ち方をすると、電子ピアノ・電子オルガンの脚の部分は、簡単に割れてしまいます。

引越し業者のスタッフが、電子ピアノ・電子オルガンを上下に分解しないで運んだ場合は、注意してください


管理人は、いくら引越し業者のスタッフとして経験を積んでも、アップライトピアノ(と金庫)の引越しだけは、いつまでたっても、自信が持てませんでした。

管理人が勤務していた支店では、お客様から引取った廃棄品のアップライトピアノがあり、それで階段作業の練習もしたのですが、いつまでたっても、慣れることはありませんでした。

もっとも、安定してピアノの階段作業をできていたのは、ごく一部の正社員・契約社員だけでした。

ピアノやオルガンの引越しは、それほど難しいものなのです。

引越しの事故といえば、タンスのような大型家具の事故を想像しがちです。

ただ、タンスよりも、むしろ、ピアノのように、あまり一般家庭で普及していない荷物のほうが、引越し業者のスタッフも経験が少ないため、事故が発生しがちです。

引越しのお荷物にピアノ・オルガンなどがある場合、なるべくピアノの引越し件数が多く、経験豊富なスタッフが多い、大手引越し専門業者に依頼すると、安心安全に引越しができます。

もちろん、無料一括見積もりサービスで、複数の大手引越し専門業者から相見積もりを取って、少しでも引越しの料金・費用を安く抑えて引越しをしてください。