「ヤバイ!!ぜんぜん荷造りが終わってない!明日引越しなのに、どうしよう…」と、徹夜で荷物の梱包したこと、ありませんか?

こんにちは。実は、お客さまと引越し業者のトラブルで、一番多いのが、「準備(特に荷造り)が終わってない」ことだと思っている、元引越し業者スタッフの管理人です。

引越し準備は、引越しをする前日までには、すべて終わらせなければなりません。

準備が終わっていないと、引越し業者による作業が遅れてしまったり、追加料金が発生したりします。

また、最悪の場合、引越し業者から、引越しそのものを断れる可能性すらありえます。

引越し当日までに準備を終わらせるポイントは、「とくにかく早く準備を始める」ということです。

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引越し当日に準備は終わっていて当たり前

青ざめる主婦

引越しの荷造りはお客さまの法的な「義務」

引越しの準備は、大変なものです。荷物の梱包は当然として、不用品の処分や手続きなど、荷物の梱包以外のこともしなければなりません。

管理人は、引越し業者のスタッフ=仕事として荷物の梱包をするでさえ、あまり好きな方ではありません(どちらかというと、力仕事のほうが向いていました)。

それなりに経験を積んだ引越し業者のスタッフですら、こんなものです。一般のお客さまとしては、ウンザリすることもあるでしょう。

ただ、どんなに大変であっても、準備しなければ、引越しはできません。

そして、荷造りは、荷主であるお客さまの法的な義務でもあります。

お客さまと引越し業者との契約内容について定められている、標準引越運送約款では、次のようになっています(第7条第1項)。

標準引越運送約款第7条(荷造り)
1 荷送人は、荷物の性質、重量、容積、運送距離等に応じて、運送に適するように荷造りをしなければなりません。
(第2項以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

もちろん、荷造りを引越し業者にまかせるプラン・パックを利用する場合は、引越し業者が荷造りをしてくれます。

そうでないプラン・パックを利用する場合は、引越し前日(荷物搬出の直前)までに、荷造りを終わらせないといけません。

引越し業者はお客さまが「準備万端」の前提でやってくる

当たり前の話ですが、引越し業者のスタッフは、「お客さまは、見積もりの際に営業員との間で打ち合わせをした準備を、すべて終わらせている」

…と、信じて現場にやってきます。

ですから、引越し業者は、「お客さまが準備を終わらせている」前提で、現場を担当するチーム編成をします。

そして、チームリーダーは、同じ前提で資材を準備して、支店・営業所を出発します。

逆にいえば、「もしかしたら準備が終わっていないかもしれない」という前提ではチーム編成をしませんし、準備もしません。

予備の資材は無駄にスペースを取るだけですから、緊急事態に対応できる最低限の資材しか用意しません。

ですから、引越し業者のチームは、「準備不足」に対応できる状態では、現場に来ないのです。

引越しの準備が終わらない場合はすぐに引越し業者に連絡を

焦る引越し業者営業員

準備・荷造りが終わっていないなら早めに引越し業者に連絡する

このような事情があるため、万が一、引越しの準備が終わっていないと、まともな引越しはできません。

引越しを終わらせるどころか、始めることすらできない可能性もあります。

ですから、どうしても引越しの準備が前日までに終わらない場合は、必ず引越し業者にひとこと連絡をしてください。

タイミングは、つぎの3つです。いずれにしても、早い方が、引越し業者にとっては都合がいいです。

  1. 引越しの日の2日前までに引越し業者から連絡があった時
  2. 引越しの日の前日の夕方
  3. 引越しの日の当日の朝(なるべく早めに)

食器の梱包が終わっていないのであれば早く連絡する

上記1.についてですが、標準引越運送約款では、引越し業者は、引越しの日の2日前までに、お客さまに必ず連絡することになっています(第3条第7項)。

標準引越運送約款第3条第7項(見積り)
(第1項から第6項まで省略)
7 当店は、見積書に記載した荷物の受取日の2日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行います。
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

この連絡があった時に、すでに荷造りや準備が終わらなさそうな場合は、正直にそのことを伝えてください。

2日前までであれば、引越し業者としても、チーム編成や準備に柔軟に対応できます。

特に、食器の梱包が終わっていない場合は、必ずこの時に伝えてください。

そうしないと、引越し業者が女性スタッフの手配ができず、最悪の場合、引越しそのものができなくなります。

引越し業者には必ず正直に状況を伝えること

もちろん、準備の進み具合によっては、後で説明しますが、追加料金が発生する可能性はあります。

ただ、当日、突然現場で準備が終わっていないことを告げるよりは、大目に見てくれる可能性は高いです。

そして、この2日前までの連絡の時には、荷造りや準備が終わる見込みだったにもかかわらず、結局終わりそうにない場合もあるでしょう。

こういう場合は、なるべく早く連絡してください。最悪でも、当日の朝に連絡してください。

当日の朝では、引越し業者にできることは限られますが、それでも現場で告げられるよりはマシです。

間違っても、追加料金の発生を恐れて、「準備は終わっている」とウソをつくことがないようにしてください。

荷物の梱包が終わっていないと追加料金が発生することも

追加費用

本当は追加料金は「当然」発生するもの

さて、事前に引越し業者に荷造りが終わっていないことを連絡した場合、引越し業者は、できる限りの準備をします。

現場に着いたスタッフも、荷造りを手伝ってくれます。

万が一、事前の連絡なしに、当日荷造りが終わっていないことが発覚しても、引越し業者のスタッフは、基本的には荷造りを手伝ってくれます。

ただ、あまりにも荷造りが進んでおらず、作業量が多い場合は、引越し業者から追加料金を請求されることもあります。

標準引越運送約款でも、つぎのように定められています(第7条第2項)。

標準引越運送約款第7条(荷造り)
(第1項省略)
2 当店は、荷物の荷造りが運送に適さないときは、荷送人に対し必要な荷造りを要求し、又は荷送人の負担により必要な荷造りを行います。
(第3項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

この表記では、単に「負担により」となっていて、何の負担かは明記されていませんが、この文脈では「費用」(=追加料金)と解釈するのが妥当でしょう。

引越し業者のチームはその引越しだけの担当ではない

「でも引越しって、どうせ丸1日かかるものでしょ?人件費も料金に含まれるんだし、追加の作業があっても、別に引越し業者は損しないんじゃない?」

…と感じるお客さまも、中にはいらっしゃるかもしれません。

確かに、たくさんの荷物がある引越し、特に4人以上の家族の引越しの場合は、丸1日の作業を想定しています。

ですから、こういうケースでは、ひとつの引越し業者のチームで「1日1件」が基本です。

ただ、実際は、ほとんどの引越し業者ののチームは、「1日1件」ではありません。

たいていの引越し業者のチームは、1日に2件以上の引越しを担当しなければなりません。

お客さまの引越しだけを担当しているわけではないのです。ですから、スケジュールに制約があることが多いです。

「荷造りが終わっていない」状態は引越し業者にとってかなり迷惑

お客さまの荷造りが終わっていないと、追加作業によって、引越し業者のスケジュールや予定が大幅に変わります。

となると、そのチームが担当する2件目以降の引越しについても、対応を変えなければいけなくなります。

場合によっては、追加でスタッフを手配することもあるでしょう。

このように、「荷造りが終わっていない」状態は、実は引越し業者にとっては、非常に迷惑なことなのです。

このため、引越し業者としても、追加料金を請求せざるを得なくなってしまいます。

最悪の場合は引越しそのものを断られる

ただ、引越し業者に追加作業が発生したり、追加料金が発生したとしても、引越しをしてくれるのであれば、まだマシです。

荷造りがほとんど進んでいない場合に、引越し当日、いきなりその状態を告げてしまうと、引越しそのものを断られる可能性もあります。

早めに引越し業者に荷造りができていないことを連絡した場合は、当日梱包のプラン・パック(いわゆる「おまかせプラン」「おまかせパック」)への変更で対応しれくれるでしょう。

ただ、そうした連絡をしない場合は、さすがにプロの引越し業者とはいえ、現場で当日梱包の対応するのは、かなり難しいです。

このような場合は、すでに述べたお客さまの荷造りの義務(標準引越運送約款第7条第1項)に違反したということで、引越し業者は、契約の解除ができます。

民法上のいわゆる「債務不履行」にもとづく契約解除です。

単に契約解除で済むかというと、そうはいきません。お客さまには、標準引越運送約款にもとづき、損害賠償責任が発生します(第29条)。

標準引越運送約款第29条(荷送人又は荷受人等の賠償責任)
荷送人又は荷受人等は、自らの故意若しくは過失により、又は荷物の性質若しくは欠陥により当店に与えた損害について、損害賠償の責任を負わなければなりません。ただし、荷送人又は荷受人等が過失なくしてその性質若しくは欠陥を知らなかったとき、又は当店がこれを知っていたときは、この限りでありません。
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

当日は布団の梱包のみで作業開始できるように準備する

朝起きた女性

当日の朝に使う荷物以外はすべて前日までに梱包してしまう

「あ~、引越しの準備不足って、そんなに大変なことなんだ。じゃあおとなしく準備するけども、どの程度まで準備するものなの?」と疑問に思いませんか?

お答えしましょう。

基本的には、「引越し当日に引越し業者のチームが来たら、すぐに作業が開始できるまで」準備します。

「朝起きて布団を梱包したら、もう作業が始められる」というくらいまで準備ができていると、理想的です。

荷造りについては、具体的には次のとおりです。

  • 布団は当日布団袋に梱包する(当日引越し業者が布団袋を持ってくる場合はまかせる)
  • 食器・食材・台所用品は前日までにすべて梱包する(前日の夕食や当日の食事はコンビニや外食で済ませる)
  • タンスの引出しの洋服はすべて梱包する(中身入りでタンスを運んでもらう場合はそのまま)
  • ハンガーケース・ハンガーボックスに入る洋服も梱包する(当日引越し業者がハンガーケース・ハンガーボックスを持ってくる場合はまかせる)
  • お風呂用品もできれば前日にお風呂に入った後で梱包してしまう
  • 家電製品の梱包は引越し業者の営業員の指示に従う(梱包する場合は固定電話機と掃除機以外はすべて梱包する)
  • トイレ用品は搬出作業の最後に梱包する(作業中に使う可能性があるため)
  • 上記以外の荷物で梱包できるものはすべて梱包する(雑巾、靴、冬の防寒着、携帯電話の充電器など当日使うものを除く)

もちろんこれは、引越し業者や引越しのプラン・パックにもよります。

ですから、細かい点については、引越し業者の営業員に、見積もりの段階で聞いておいてください。

また、引越し業者からくる、2日前までの連絡の時に聞いてもいいでしょう。

引越しの準備・梱包のポイントは「早く始める」

家のチェックシート

引越しの準備はとにかく早く始めること

では、実際に引越しの準備をする場合に、引越し当日までにすべての準備を終わらせるポイントは何か。

これは、「とにかく早く始める」のひと言につきます。

もちろん、引越し業者のスタッフならではの、プロの技術やコツなどがないわけではありません。

ただ、これは「作業効率を上げて早く、かつ丁寧に仕事ができるようにする」というまったくアドバイスにならない話になります。

しっかりと経験を積んだ引越し業者のスタッフであれば、相当荷物が多い場合であっても、丸1日あれば、1人ですべての荷物を梱包できます。

しかし、一般のお客さまの場合は、そうはいきません。荷物の量も人それぞれですし、建物の状態もそれぞれです。

ただ、いずれの場合にも共通して言えることは、「引越しの準備・梱包は予想以上に時間がかかる」ということです。

計画は不完全なもの・遅れるもの

引越しの準備は、荷造りだけでなく、各種手続き・不用品の処分など、意外に時間がかかるものが多いです。

いくら事前に計画を立てたとしても、まず間違いなく計画どおりにはいかずに、遅れてしまうものです。

もちろん、計画そのものは立てたほうがいいですが、あくまで目安程度のものです。

「計画は不完全なもの」「計画は遅れるもの」であるという前提で、なるべく早く準備にはとりかかってください。

また、引越し前日(できれば2日前も)は、丸1日を予備日としてください。丸1日あれば、なんとか計画の遅れは取り戻せます。

「引越しには慣れているから」と油断しない

「大丈夫だよ。私は引越しに慣れてるし、そんなに焦って準備しなくても間に合うから」と簡単に考えてませんか?

引越し業者の原液スタッフや、かつてのスタッフならばともかく、一般のお客さまの場合は、こういった油断は禁物です。

いくら引越しに慣れているとはいえ、数年に1回程度の経験では、たかが知れています。

また、通常、引越しは回数を重ねるごとに、荷物が増えるものです。

よほど短期間で引越しをする場合や、普段から「断捨離」を心がけていない限り、毎回、前回の引越しよりも準備にかかる時間は増えます。

ですから、引越しの準備には「想定以上に時間がかかる」という前提で、余裕を持って準備を始めてください。

まとめ

この「お客さまの準備が終わっていない」というのは、引越し業者の現場のスタッフにとっては、本当に困るものです。

客商売である以上、現場のスタッフとしては、お客さまに強気に出られません(管理人が小心者だから、というのもあるでしょうけど…)。

ひどいお客さまの場合は、ご自分が準備不足であることを棚に上げて、逆ギレする方もいらっしゃいます。

会社としても売上がかかっていますので、ヘタに断ることもできず、やむを得ず無償で追加作業をすることも、よくあります。

中には、(狙ってやってるんじゃないの?)というくらい、絶妙な進み具合の準備不足のお客さまもいらっしゃいました。

もちろん、こうしたことを「狙ってする」のは、「大やけど」する可能性がありますので、絶対にオススメできません。

特に、繁忙期は引越しの件数が多く、引越し業者もかなり強気になります。

このため、準備不足のお客さまの引越しは、意外とあっさり断ることができます。

その結果、多額の追加料金を払うか、それとも引越しを延期するかの二択を迫られるリスクもあります。

もちろん、延期したとしても、繁忙期ですから、かなり先でないと、引越し業者のスケジュールは空いてません。

このように、繁忙期の準備不足はかなりのリスクがありますので、絶対に準備は間に合わせるようにしてください。